遺言にはあなたの願い、思いをこめる
遺言書は、その人の最後の意思表示です。
死後にその人の意思表示ができるのは遺言書だけです。
意思とは、「なにをどう願い、思い、どうして欲しいのか」ということです。
願いや思いというのは最初は漠然としたものです。
たとえ、まだ漠然としたものでも、そこからが遺言書作成のスタートです。
ですが遺言は親切というわけではなく、漠然とした思いだけを書いても法律的な効果が発生するわけではありません。
もしあなたに子供がいれば「これからも兄弟仲良くして、力を合わせて生きていってほしい」と思うでしょう。
ですが、こうした抽象的な表現を遺言に書いても法律的な効果は残念ながら発生しません。
遺言では法律的な効果を発生させる書き方が必要です。
逆に言えば、自分の「思い」を法律的に効果のある内容に置き換えて遺言を書けばよいのです。
最初は漠然としている自分の思いを、徐々に具体化していってください。
その具体化した思いが遺言の内容となっていきます。
我々行政書士は、皆さまの漠然とした思いを共に具体的なものにしていき、法律効果の発生する完璧な遺言を作成する「遺言書作成のプロ」です。
遺言は細かい法律の規定があったり、不慣れな方にとっては大変な面もございますので、ぜひとも遺言書作成はお近くの行政書士にご相談をすることをおすすめします。
「思い、願いを叶える」遺言を書く
遺言は自分の死後に残される人を思う内容のものが多いはずですが、その書いた内容が効力のあるものでなければいけません。
もし、子供の中にケガや病気の子供がいて、この先が心配という場合、「家族みんなで〇〇の面倒をよろしく頼む」といった遺言ではいけません。
遺言で、そういう心配は、具体的に財産をその子に多く残すという方法などで実現しなければなりません。
なので、「〇〇に△△銀行の普通預金〇〇〇万円を相続させる」というような内容でなければいけません。
それでは、妻(配偶者)への感謝の気持ちを相続に反映させる遺言書を書く場合を考えてみます。
長年連れ添った妻が、今後も経済的に安心して老後の生活をおくれるようにと思ってる場合です。
考え方の流れは以下です。
|
4.が遺言の内容となります。
妻(配偶者)と子が相続人の場合、法定相続分(遺言が無い場合の相続分)は妻が2分の1、子が2分の1(子が数人いれば子の間で均等分け)ですが、この遺言があれば、遺言により妻が全部相続し、子がゼロになります。
ただし、子には遺留分があります。
遺留分は、どんな遺言内容であっても最低限相続できる割合のことで、子の遺留分は自分の法定相続分の2分の1です。
例えば子が二人いれば、その子一人の法定相続分は4分の1ですので、1/4×1/2=1/8が子の遺留分になります。
ということで、妻に全財産を相続させて、子をゼロにすることは、子の遺留分を侵害することになります。
ですが、その遺言書は無効ではなく、有効です。
遺留分の侵害は、侵害された相続人が侵害した人に対して減殺(侵害した部分の取戻し)を請求した場合に、初めて取戻しが認められるものなので、減殺請求がなければ遺言どおりでよいことになります。
こうした場合は、遺言者本人が妻に全財産を相続させる旨を子に伝え、妻が相続した分は、いずれ妻が死亡した時には子が相続することになることを話し、納得させて減殺請求をしないように頼んでおく、もしくは遺言書に書いておくとよいです。
その他の方法では、子にも遺留分を侵害しない程度の遺産を相続させる内容の遺言にしておけば、その後減殺請求させることはありません。