【相談内容】

長男の家族と暮らしていますが、長男の嫁にずっと介護の面倒をかけてます。
その恩義に報いたいと思っているのですが、ろくに訪ねても来ない他の子供たちに遺産分けの話合いをまかせると、この思いを反映させてくれるかどうかわかりません。

【解決方法】

⇒嫁の寄与分を示して、嫁本人に遺贈するか長男に多く相続させる旨の遺言をすればいいです。

息子の嫁には相続権がない

親が亡くなれば、その息子は法定相続人になりますが、息子の嫁は子ではないので、どんなに親密な関係であったとしても相続人にはなれません。

民法では、親より先に息子が死亡した場合、その嫁は、そのまま夫の親と姻族関係を継続してもいいし、また姻族関係終了届を市区町村役場に提出して、姻族関係を終わらせることもできます。

しかし、たとえ夫の親と同居し、姻族関係を継続させたとしても、息子の嫁は法定相続人になれませんので、相続はできません。

上記のように、同居していた長男の嫁が、年老いた義理の親を生活全般にわたって支援したり、介護したりすることは大変な負担、苦労を伴うもので、面倒を見てもらった側はなんとかその苦労に報いたいと思うのは、ごく自然なことです。
しかし、いくら心から感謝していて、感謝の気持ちを伝えていても、具体的になにも手を打たなければ、その嫁の恩義に報いるという結果にはなりません。

法定相続人には「寄与分」という制度があるのですが・・・

親を扶養したり、介護に尽くしたというような場合には、「寄与分」の制度があり、法定相続人にその「寄与分」を上乗せして相続を受け取らせることが認められていますが、子の対象になるのは「法定相続人」だけなのです。

義父母の介護に尽くしてきた嫁としては、自分の夫(亡くなった人の子)が生きていれば、夫の相続分に自分のした介護の貢献分を、夫の相続分に上乗せすることができますが、嫁本人には、どんなに新味になって介護をしたとしても、遺言書がなければいっさい入ってこないのです。

こんな時こそ「遺言書」が必要

義理の親が死亡したときの相続の面では、何ら報われないというのは、制度上の欠陥と言えます。
その弊害をなくすために、遺言を残しておくことです。
遺言をすることが、息子の嫁の恩義に報いる手段なのです。

面倒を見てくれたのが、兄弟姉妹であった場合にも、遺言を残しておくことが最良の手段です。
なにもしてくれいない親不孝な息子・娘がいると、相続の優先順位が低い兄弟姉妹は相続人となれず、親身になって面倒を見てくれた兄弟姉妹には相続財産がいっさい入ってこないのです。
もし、被相続人に子や親がなく、兄弟姉妹が相続人になる場合でも、遺言がなければ、相続分は均等割りなので、兄弟姉妹のうち面倒を見てくれた人に厚く報いるためには、やはり遺言がひつようになります。